オーストラリア起業家 松本なみ さんインタビュー VOL.2

はたらくことメディア

はたらくことメディア 松本なみ

越えられない壁は無い。オーストラリアでゼロから道を切り拓いた留学、起業、子育て、私たちには選択の自由がある。松本なみさんの人生に学ぶ、人生の舵をとる生き方。

2020.2.2

松本 なみ プロフィール(取材当時)

オーストラリア メルボルンが拠点のナチュラルフードのオンラインショップ
Taiyo Health (Aust) Pty Ltd とハーブの製造会社Alinga Organics Australia Pty Ltd
2社の経営者であり、美しい自然に囲まれたバイロンベイで2人の娘を育てるシングルマザーでもある。
経営しているショップやクリニックだけではなく、健康相談やオンラインセミナーや執筆などを通し
多くの日本人のクオリティオブライフ向上に貢献している。

ATMS(オーストラリア伝統医学学会)認定ナチュロパス
Taiyo Health (Aust) Pty Ltd 代表取締役
Alinga Organics Australia Pty Ltd 代表取締役
NPO法人日本ホリスティックビューティ協会顧問
株式会社エリクシノール 特別顧問
社団法人国際ナチュロパス協会 代表理事

公式HP :http://naturopathnami.com/ 
X(旧Twitter): https://twitter.com/naturopathnami
オンラインショップ:http://holisticplace.com.au/
アリンガオーガニクス:http://alingaorganics.com/


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やりたい気持ちが本気に変わった時、人は行動する。

— 小さな頃から将来の夢が変わらず、夢を叶える偉人もいますが、多くの場合はやりたいことが変わったり、わからなくて当たり前。これからみつけていけば良いというのは、今の焦りのような感情を抱えている方たちに是非知って頂きたい事です。
  では、なみさんがやりたい事、学びたい分野をみつけたきっかけはなんですか?

もともとOL時代からハーブやアロマに興味がありました。
しかしオーストラリアに渡り、ナチュロパシーというのはサプリメントやハーブを医療に近い立ち位置で処方し、それで実際に病気が治ってしまうという事を聞いて、「私が勉強したいのはこの分野だ」という風に思ったのがきっかけでした。

シドニーからバイロンベイまで電車で旅をしたのですが当時の電車はのろのろ運転で11時間近くかかりました。その時に隣に座った人がなんとナチュロパスだったんです。バイロンベイに着くまでその方とずっとお話をしていたのですが、その時に聞いたのが医療に近い立ち位置でハーブやサプリメントを処方して、病気を治していくという話だったのです。
それでもう自分の中で固まっちゃうわけですよ。「どうしてもナチュロパシーを勉強したい!」と。

そして11時間後にバイロンベイに到着して駅に降り立ったら、当時オーストラリアで唯一ナチュロパシーを教えている大学がバイロンベイにあるということが判明して、「これはもう運命だ!」って思いました。(笑)
24歳の時でした。

— 凄い!運命的な展開ですね。そのままナチュロパスの道へ一直線ですか?

それがね、やっぱり実際一度日本に帰ってしまうと忘れてしまうんですよ。
お金を貯めたり、環境を変えるのは気合がいりますが、東京で過ごす毎日の生活は楽しい。
すると簡単に「やりたい!」と思った気持ちなんて忘れてしまう。
だから2年ぐらいはそこまで本気じゃない時間を過ごしました。「いつかは行けたらいいけど、色々大変だよね~」と。

でもある時ふと、「あっ、私、今行動に移さないとずっとこのままかも」と思い立って。 それで半年間ぐらいでラストスパートでお金を貯めて行動に移しました。

— やってはいるものの、そこまで本気じゃない時間というのは、多くの人が身に覚えがある事ですよね。そんな私もそのひとりです。(笑)
なみさんが行動に移した「あっ!今動かないとずっとこのままかも」の「あっ!」のきっかけはなんだったんでしょうか。

「あっ!」のきっかけはですね、当時大好きな彼に振られてリバウンド的に付き合った彼がいたのですが、それはとても安定した関係でなんの不満もありませんでした。きっとこのままいったら同棲して結婚してみたいな感じだろうなっていう時に、ふと「私は本当にこれでいいのかな?」と思ったんです。

— 不満なく安定した状況や関係をあえて疑問視する視点というのは、現在あるものや未来に対しての選択にとても重要なことだと思います。しかしそれだけにとても難しいことだったんではないですか?

難しかったです。だからまあすごい決断でしたよ。
親からも当然、「え?今から?だって卒業したら30過ぎるぞ?就職どうすんの?え?それでそのあと帰ってくんの?」ってね。笑

それでも「これ、やんなかったら一生後悔するな」って想いが沸いてきたんですよね。
で、クリスマスの前日(!)に彼と別れて。
もうそこから一気にラストスパートです。ビザや入学の準備を2か月程度で完了させました。出国して、2日後には学校が始まるという本当に全てギリギリでしたがミラクルにミラクルが重なり、新しいクラスのスタートに間に合うことができました。

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熱意によっては既存の事も変えられる。留学生を受け入れていない大学に直接交渉で道を拓く。

— 行動は願いを叶える上で重要ですか。

後がなくても、やると決めることが大事だと思います。
なんとなく思っているだけではダメなんですよ。本気で思い立つと、叶える率やスピードは早くなる。
オーストラリアの大学は IELTS というものを受けなければならないのですが、 私はTOEICしかもっていませんでした。それでは入学できないと言われましたが、IELTSを受けなおしていては新しいクラスのスタートに間に合いません。そこで私は学校の校長先生に電話をして掛け合い、「君の英語力なら大丈夫だね」と特別に許可をいただき無事に入学することができたんです。
本当に何かを叶えたい、達成したい時には火事場の馬鹿力みたいなものが働くんでしょうね。

やりたいと決めたら絶対にやりますね。どんなに壁が厚くても。 
例えば、その後Collegeに入学して Southern Cross University に編入という形になったんですが当時 Southern Cross University は 留学生を受け入れていませんでした。 唯一の抜け道が、TAFE Collegeというところに入って3年勉強したら Southern CROSS University に編入が可能だということを聞いてTAFE Collegeに入学したのですが、実際卒業間際になったらSouthern Cross Universityにはまだ留学生を受け入れる手はずが整っていないと言われてしまったんです。
私の中ではもう絶対バイロンベイに住んで絶対 Southern CROSS University に行くと決めていたので。また学長に掛け合いました。(笑)

既存のコースはないと言われてもどうにかテストケースとして作ってもらえないかと、とにかく必死にプレゼンをしました。最終的には受け入れてくださり、特別にコースを組み、学生ビザも学長自ら降ろしてくださりました。

— ものすごい交渉力ですね!壁がある場合の対処のスタンスは、基本的には交渉ですか?

だからね、自分が本当にやりたいと思った事なら不可能なことはないと私はその時に思いました。
熱意によっては既存のことをも変えられるということです。

― 想いの強さは行動量や伝わる強さに比例するんですね。

やっぱり比例しますよね。
相手もそれが真剣だとわかれば、考えを変えてくれると思います。

― ではなみさんにとって、今の仕事や はたらくことってなんでしょうか?

私にとって仕事はパッションだと思っています。ナチュロパシーですとか自然療法、栄養学に関する情報をシェアしている時もセミナーなどで講演する時も、その関連の商品を売っている時でも、やはり・・・燃えますよね。
そして喜びを感じます。
仕事をしている時がいちばん「脳の神経回路にバチバチバチっと火花が散っているな」と感じますね。

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人生を豊かに楽しむ、オーストラリアの人々の生き方。そこから見える日本との違い。

— 現在のビジネスのひとつである日本向けのオンラインストアを立ち上げたきっかけについて聞かせてください。

オーストラリアのサプリメント事情に慣れていると日本のサプリメントの内容に驚いてしまうんですよ。添加物も色々ですし、「え!こんなの売ってるんだ…」っと衝撃を受けました。
オーストラリアはどこの国よりもサプリメントに対して審査が厳しい国です。
TGAという厚労省のような政府の機関があって、工場に対しての監査も年に一度は必ず入ります。添加物も少なく、オーストラリアで製造販売されているサプリメントはとても安全性の高いものです。

これを日本の人達にも知ってもらえたら良いなと考えました。
もともと学生時代から構想はあったものですが、日本の方から「なみさんの使っているサプリメントはどこで買えるのですか?」と言われることが多く、では始めようかなと思ったのがきっかけです。

— 確かに、アメリカやヨーロッパのメーカーなど色々なビタミンを試しましたが胃が痛くってしまう事がほとんどで困りました。しかし、なみさんのストアで購入したものは胃が痛くならず、飲んだ時と飲まなかった時の身体の調子や肌の調子が明らかに違い大変驚きました。
  海外で働きたい人たちのヒントとなるのではないかと思うので、日本とオーストラリアの違いについて聞かせてください。まずは働き方などに何か違いはありますか?

働き方はね、皆さんいい意味でも悪い意味でも自分勝手ですよ。笑

彼らはまず、仕事を優先にはしないでしょうね。自分の人生が一番先です。そして家族、その次は仕事というような感じです。 自分の誕生日には会社や学校を休むなどは普通ですし、 5時ぐらいには退社しています。金曜日は4時に終わって5時にはパブで飲み始めて、夕飯時には家に帰ってというのが普通。オフィス街でも金曜日の6時以降に電気がついている所はほとんどないです。

オーストラリアは現在、富裕層が多く、投資など賢い稼ぎ方を押している人が多いです。また会社法人も設立しやすく、若いアントレプレナーも増えています。そういった意味でも、オーストラリアは 自分らしく働くことができる場所なのかなと思います。

― オーストラリアの働くことに対しての考え方というのは?

日本とはやっぱり違うと思いますよ。
日本って、自己犠牲のもとに全てが成り立っている部分が多いじゃないですか。
「身を挺して働く」という価値観はオーストラリア人にはありません。だからこそLazyなところがあり、その結果色々と問題も起こってきます。

例えば、 日本で宅配便を翌日着で頼んだら絶対に翌日に着きますよね。しかし オーストラリアで追加の料金を支払い、翌日配達便を頼んでもほぼ翌日には着きません。「州が遠いから」「主要都市じゃないから」って平然と言います。(笑)でもそれがオーストラリアでは常識なので日本人のお客様とオーストラリア人の間に入る私のビジネスで、そこは非常に苦労して入る点ですね。

― オーストラリアの方は人生が豊かそうですね。
  日本とオーストラリア、人生の楽しみ方にはどんな違いがありますか?

まず運動を習慣にしている人が圧倒的に多いです。都会でも平日から朝早く起きて泳いだりマラソンをしたりして、週末は自然に親しみながら過ごしています。また健康やボディラインにも気を配り、それを楽しんでいますよ。有給も1ヶ月以上もらえ、そして遠慮なく休暇を取ります。
仕事よりも家族や自分の人生が優先なので、そういった意味でも日本人とは違って人生を豊かに楽しむことができているんじゃないかな。


VOL.3は なみさんの人生の価値観や向き合い方について伺っています。お楽しみに。

取材・文:小川圭美

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