株式会社データミックス 堅田洋資さんインタビューVOL.2

はたらくことメディア

はたらくことメディア 堅田 洋資

柔軟さとオープンさで、人生を変える。データミックス堅田洋資さんに学ぶ能動的な生き方。

2020.7.21

堅田 洋資 プロフィール

株式会社データミックス
代表取締役社長/データサイエンティスト
1982年東京生まれ、桐光学園高等学校出身、一橋大学商学部卒業。
在学中のインターンにより、ベンチャービジネスの成長と醍醐味を肌で感じビジネスに開眼。卒業後は大手外資系メーカーにて経理、マーケティングを皮切りに、監査法人での事業再生コンサル、ソフトウェア企業からスピンオフした生体センサー新規事業の企画開発を伴う取締役、アルゴリズム開発、営業、データサイエンス、など様々なビジネスの経験をもつ。
2013年サンフランシスコ大学へデータ分析学修士号を取得。
2017年2月株式会社データミックスを設立。
著書
Excelで機械学習
フリーライブラリで学ぶ機械学習入門
ベンチャー魂を心に、日本中でデータサイエンスをツールにビジネスに貢献できるビジネスパーソンを育成する教育事業を展開。
日本を支える企業を深部から根本的に体質改善をする「漢方薬的アプローチ」を続け、本質的なDX(デジタルトランスフォーメーション)に寄与し、活躍の幅を広げている。


前回の記事

子供は毎日データサイエンス的アプローチ。

— データサイエンスを学ぶのに年齢は関係ありますか?

子供に教えたほうが早いのかなとも実は思っていて。
というのも子供の頃って、勉強や部活などでデータサイエンティスト的なアプローチをたくさんやっているんですよ。
例えば部活でバトミントンをしているとして。

①まずは基礎練習で素振りをしたりフットワークのような練習をしますよね。
 それはデータサイエンス的に言うと、 Python とかの書き方なんです。
②そしていざ試合に出た時、相手の出方を見ながらラリーをしたりして、負けたりします。
③すると「なんで負けたんだろうあそこが良くなかったのかな、こうだったのかな」って考える。
④考えていく中で「こうした方がいいんじゃないか」という仮説やアイディアが出てくる。
⑤それでまた続けていくと、勝った、負けたという結果が積み重なる。
⑥そしてまた仮説やアイディアで改善を加えていく。

これがPDCA が回っている状態です。つまりこの PDCA の筋がいい子が上達が早いねと言われる子で、PDCAの試行錯誤が遅かったり筋が良くなかったりすると上達が遅いねって言われるということです。
うまいか下手かは置いておいてだいたい誰でもこのサイクルって回したことは必ずあると思うんです。勉強だってそうだと思います。

— でもこのPDCA、考え方としてこんな方法があるんだよって学校では教えないんですよね。 社会人になって失敗してみて改めて実践し直すというか。みんな部活や習い事でも経験したことがあるはずなんですけどね。

 そうなんですよね、 指導の仕方も問題なのかなと思っていて。
「○○しなさい!」ではなくて、「どうやったらうまくなると思う?」ってしてあげればいいのではないかと思います。
子供の勉強も、大人の勉強も、ただドリル的にやってる人は上手くなりません。
「これがやりたいからどうやるのか調べる」そして調べたものが自分の身になる。能動的でなければいけません。

データサイエンティストは最強のビジネスパーソン。

― データサイエンティストは今、圧倒的に数も足りないので、データアナリストやデータエンジニアがデータサイエンティストという職に就いている方もいます。数が増えてくる時期が過ぎると、そこから先の成熟期ではそれぞれ成功とそうでない者と分かれていくと思いますが、そうなるとどんな人たちが勝ち残っていくと思われますか?

そうですね、データアナリストやデータエンジニアなどもデータサイエンティストって言っている人は多いですね。
たぶん高度な数学とか統計処理を知ってるからですかね。
データサイエンティストは大雑把に分けると、
ビジネスインパクトこそ成果だと思っている課題発見型チームと
手法の高度差で測るアカデミックチーム。
ざっくりとこの2グループがいると思っています。
ビジネスにおいての勝ち残りという点では、当然課題発見型だと思います。
自分も経営をしていて思いますが、ビジネスができなければダメなんです、私が考える良いデータサイエンティストの根っこは、ビジネスパーソンなんですよ。

— 「色んなことができるけど、ビジネス課題の発見、データ分析、解決までできちゃう」これってもはや、ビジネスパーソンとして最強なんではないか説があります。笑

はい、ツールとしては最強ですね。笑
私は7社の転職歴があり、途中に留学も挟み、ビジネスにおいて様々な経験をしてきました。
経理に、マーケティング、事業再生コンサルティング、新規事業の立ち上げや、アルゴリズム開発、営業もしました。ツールとしてデータサイエンスも加わり、今までの経験が全て意味があるものになっています。
現在、中小企業のDXコンサルをしていますが、顧客の課題解決のためにはデータサイエンスに限らず、経理的な視点からマーケ、データ分析、営業改善、僕はなんでもやりますよ。それでこのコンサルフィーを成果報酬でできないかと実験中です。
「POC です何百万くださいっ」て言うじゃないですか、あの効果があるかわからないのにまずはお金をもらうということに、違和感を覚え始めています。しかも受講生の前では「やってみなければわからない、リスクを取るんだ」と言っているのに、リスクを取らずにお金をもらっているわけですから、ちょっとかっこ悪いかなと。

— データ活用の社会的認知が広がり、かつ顧客にリスクがない。データ活用がどんなものか分からない企業などにとってもまずは入り口に良いですね。
でもそれ、データミックスにとってはペイしない場合もありますよね。

そうです、 ペイしないこともあるかなとは思っています。
でも公平性が一番かな。やっぱりかっこ悪いのは嫌なんで、受講生みんなの前で言ってるからにはこっちもリスクを取ります。それで「売上が上がったら、売上上がった分の何パーセントください」って、それって公平じゃないですか。うまくいって、「データ分析使えるじゃん!」となったら、データミックスのファンと言うか「データって使えるな」っていうふうに思う会社が増えてくれたらいいなと思っています。

でも公平性が一番かな。やっぱりかっこ悪いのは嫌なんで、受講生みんなの前で言ってるからにはこっちもリスクを取ります。それで「売上が上がったら、売上上がった分の何パーセントください」って、それって公平じゃないですか。うまくいって、「データ分析使えるじゃん!」となったら、データミックスのファンと言うか「データって使えるな」っていうふうに思う会社が増えてくれたらいいなと思っています。

はたらくことメディア 堅田 洋資

データ分析だけにこだわる必要はない。目的は顧客の課題解決。


— 堅田さん、「堅田さんの肩書」ってなんでしょうか。

私の肩書は「データ分析って面白いよ」ということを言って回るおじさんですかね。
自分のことを経営者だとは思っています。ビジネスを創る人。
今まで無かったサービスを、お客さんを観察しながら提案していくっていうのが僕の仕事。
お客様の課題を解決するためだったらなんでもします、別にデータにこだわる必要は無いんです。何故なら目的は顧客の課題解決を実現することであり、データ分析をする事ではないですから。
自分は経営者だと言っても、マネジメントが上手いタイプの人とは違い、前線にいってやっているタイプです。
人の面倒をみるのは得意じゃなく、部下の育成になると、途端にダメだ~ってなります。データサイエンスを教えるのは得意なんですけどね。笑

— でも、ビジネスコンサルの支払いシステムを変えたりと、リスクを取りながら受講生や部下に対して有言実行の姿勢を見せていらっしゃる。

若手のメンバーがいるのでその姿を見せる事っていうことが大事だなと思っていて。 
採用して、手金を切って、成果なんてわからないのに事業会社はそれをやっているわけです。それを教育事業者がやらなくてどうするんだと僕は思うんですよ。

はたらくことメディア 堅田 洋資

中小企業コンサルへの取り組みは、データサイエンスを使うとビジネスにどんなインパクトをもたらすのかということが日本で認知されていく、素晴らしい試みです。新しいことに挑戦をしたいと考える中小企業はたくさんありますが、資金的な部分がネックになり、一歩が踏み出せないという課題に対して、成果報酬で間口を広げるということは大きな社会貢献だと考えます。

日本の産業を支える多くは中小企業です。DXを推進していくにはこの中小企業がデータを活用することでいかにビジネスにインパクトをもたらすのかを実感値として体験していくということが、日本がDXを推進する鍵となると考えます。使い、結果が出ることで初めてその威力というものが分かるわけです。それもより良いやり方で使えるかどうかでインパクトの大きさも変わる。それには、やはりデータを扱うプロたちの力が不可欠です。

だからこそ「AIやデータは使える会社だけが使えればいい」では無く、データミックスのように「良さを知ってもらい、データ分析のファンになってもらう」こうした心のあるビジネス理念がある会社をデータ分析を武器とする各企業がベンチマークにする事で、日本のDXがより本質的に進んでいくのではないでしょうか。


次回VOL.3では、どのようにしてデータサイエンスと出会い、何故、起業したのか。
堅田さんの人生へと迫ります。次回もお楽しみに。

取材・文:小川圭美

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