株式会社データミックス 堅田洋資さんインタビューVOL.3

はたらくことメディア

はたらくことメディア 堅田 洋資

柔軟さとオープンさで、人生を変える。データミックス堅田洋資さんに学ぶ能動的な生き方。

2020.9.6

堅田 洋資 プロフィール

株式会社データミックス
代表取締役社長/データサイエンティスト
1982年東京生まれ、桐光学園高等学校出身、一橋大学商学部卒業。
在学中のインターンにより、ベンチャービジネスの成長と醍醐味を肌で感じビジネスに開眼。卒業後は大手外資系メーカーにて経理、マーケティングを皮切りに、監査法人での事業再生コンサル、ソフトウェア企業からスピンオフした生体センサー新規事業の企画開発を伴う取締役、アルゴリズム開発、営業、データサイエンス、など様々なビジネスの経験をもつ。
2013年サンフランシスコ大学へデータ分析学修士号を取得。
2017年2月株式会社データミックスを設立。
著書
Excelで機械学習
フリーライブラリで学ぶ機械学習入門
ベンチャー魂を心に、日本中でデータサイエンスをツールにビジネスに貢献できるビジネスパーソンを育成する教育事業を展開。
日本を支える企業を深部から根本的に体質改善をする「漢方薬的アプローチ」を続け、本質的なDX(デジタルトランスフォーメーション)に寄与し、活躍の幅を広げている。


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「お前、シリコンバレーって知ってるか」父のひとことが、人生を変えた。

— 堅田さん、ここからは人生について聞かせてください。どのように育ってきましたか?

東京生まれで、父が銀行員で、母は専業主婦の家庭で育ちました。両親は割と構ってくれていたような覚えがあります。僕は気が弱く、子供の頃はいじめられっ子でいつも泣いていたような気がしますね。育った土地が柄が良い地区では無く、いじめられていた経緯もあったので「中学は私立に行きなさい」と言われて勉強していましたが身が入らず成績は振るいませんでした。
桐光学園に入ってからも、初めはいじめられたりもしたんですが、サッカー部に入ってやっと友達ができてきました。 初めてやるのですごい下手だったんですけどね。(笑)勉強もそこそこ頑張りましたが、平凡でした。

高校に入った頃、父が急に「お前シリコンバレーって知ってるか」と言ってきたんです。当時まだ Yahoo とかが出始めた頃とかなんですよ。
これは推測ですが、父は銀行で偉くはなりましたがが、それまでもいろいろ紆余曲折あったようで面白くなかったのではないかと思うんですよね。だから子供にはもっと 起業とかビジネスをやって楽しんで欲しいと思ったんじゃないかと思います。それで当時勧められた本で米倉誠一郎さんの新書を渡されて、読んでみたら結構おもろいじゃんって思ったんですよ。その頃、NHKスペシャルかなにかで、ベンチャーキャピタルのおじさんたちのインタビューの放送も見た覚えがあって、スタンフォードが舞台で、「自転車でいける範囲の会社しか投資しないんだよ」って投資家が言っているの見て、かっこいい世界だとベンチャーへの憧れが形成されていきました。

それで 一橋大学に行きたいと思うようになりました。
父の思惑通りですね。父の勝ちです。(笑)

高2から一橋商学部1本勝負で、滑り止めは1本だけ受けて良い約束をして私立は慶應を受けました。それで無事に一橋に受かりました。でも実は受験前は数学がすごく苦手でした。偏差値なんて30くらいでした。とにかくすごく苦手で。 英語も苦手でした。とにかくあまり得意科目がない子供でした。
それが河合塾に通いはじめた時に「遠藤先生」という先生に当たり、その先生との出会いで僕の勉強に対する考えが変わりました。「数学は覚えちゃだめだよ、ロジックなんだよ。ロジカルであるってことは、解けるということ」今まではパターン認識だったんです。それに気が付いてから、考える事が面白くなりました。国立大学のテストは、考える問題がちょこちょこ出るんですよ。それがまた面白いと思ったんです。
するとそこから本当に勉強が面白くなって、30だった数学の偏差値が70くらいまで一気にあがって、化けました。(笑)考えるから、国語の偏差値も上がりました。遠藤先生がいなかったら、一橋なんて受かってなかったと思いますね。とても感謝しています。そこからは、本当に勉強が楽しくて、勉強ばっかやっていましたね。
あとは、エレキギターを習っていたのでバンド。
高校卒業したらミュージシャンになろうと思っていました。ギターリストになりたかったんです。そのくらい好きだったんです。
だから一度、一橋に行きたいっていう気持ちが揺らいだ時があったんですが、ギターの先生に「勉強ができるんだったら大学行った方がいいよ」と言われ、今度は大学に行ったら25万ぐらいのギターを買ってやるよって父に言われ、またうまく乗せられ、頑張るぞってなりました。(笑)

はたらくことメディア 堅田 洋資

— 人との出会いとお父様との関係がとても大きいんですね。

そうですね、人との出会いといえば、データサイエンスに興味をもったのも大学時代の友人がきっかけです。
大学で別の友人を待っていた時に、たまたま通りかかった「あみちゃん」が、「ガチャ(私)って数学好きだったよね?」とその足で連れて行ってくれたのが三菱電気の統計学の勉強会だったんです。そこでは大学生のセミナー講師補助を探していて、彼女は自分には向いていないので、誰か適任にパスしようと思ったようで、まんまと僕がはまった形です。笑「あみちゃん」がいなかったら僕は今、この仕事はしていないと思います。
ちなみにその「あみちゃん」は今LINEの役員で、マネジメントプロです。当時から適材適所に振り分け、人を見る目があったってことですよね。笑

今から振り返ると、うまくつながっているなぁと思うんですよ。
シリコンバレーの話を父がしてくれなければ一橋に行きたいと思わなかったですし、そこで出会ったあみちゃんがたまたま統計学の勉強会に連れて行ってくれなかったら、 今はないと思いますし。シリコンバレーと統計学をハイブリッドしていなければ起業もないと思うんですよ。

— どんなことが人生に影響を及ぼすか、分からないものですね。

そうなんですよ、3年生の時にオプトという当時20~30人の会社でインターンをはじめたんですが、それが20人、50人、100人と、どんどん大きくなっていくんです。その成長感は本当に凄いと思いました。そこで「ベンチャーって面白いじゃん!」と思わせてくれたんですよ。
ゼミでも良い出会いがあり、ゼミの先生がすごく熱心で素晴らしい先生でした。無料で大学院合格に向けたゼミに私も混ぜてもらい、「やりたいなら教えるよ」と全部無料で教えてくれていたんです。今だったら考えられないですよね、感謝してもしきれないです。その先生がカーネギーメロンに留学していたんです、それで自分もいつか留学したいと思いました。

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「表現力と聴く力」結局どちらも必要。

― 出会いや経験は堅田さんの今をつくるのに不可欠なものだったんですね。経験という点でいうと、子供の頃いじめられた経験というのはなにかに活きていますか?

そうですね、活きていますよ。なんかこう自分の得意なこと見つけたいとはずっと思っていました。勉強ができるわけでもないし、 スポーツもできない、足も遅い。その上、気も弱かったのでいじめの対象になりやすかったのかなとは思いますね。だからこそ、得意なものを見つけたかった。それが今にも繋がっていますね、出来ないと言わないというか。偏差値30から一橋いくんですからね。笑

― 人生を生きる上で持っているべき役立つスキルは何だと思いますか?

マインドセットからいくと素直さ、 感謝の気持ちです。素直に聞いて動いてみる。あとこれはスキルかを分かりませんが、内省する力。「なんでこうなったんだろう?」という振りかえり、「まぁいっか」にしないというところです。
あとは、コミュニケーション能力。言語能力というのは結構大事だなと思っています。
データ分析って難しいコンセプトがいっぱいあるんですけど、それを言語能力がないと伝えられないんですよ。やったことないことを、こうなるはずだって人に説明するときにはすごく表現力が求められます。これはデータ分析に限らず、社会に出たら必ず必要になってくることなので、言語能力や 表現力はあったほうがいいと思いますね。

あとね、みんな人の話し、聞いてないんですよね。
素直さ謙虚さがある人は、人の話を聞いています。ちゃんと聞いているからこそ行動に移すんですよ。喋るのは上手いんだけど、人の話しは聞いてないよねっていう人はいっぱいいて、そういう人は進化しないですよね。
結局両方必要なんですよ、表現力も聴く力も。
どう伸ばしたらいいんですかっていう質問が来てしまうと難しいんですけどね。
やっぱり、子供の頃の教育ですかね。

誰かの役に立ちたい。お金はその後からついてくるもの。

― 幼少期の頃に知った価値観というのはその後に大きく影響していると、私たちも考えています。だからこそ「はたらくことメディア」では、各分野のプロフェッショナルにプライベートな価値観を含めたお話を聞かせていただいて、それをTERAKOYA Programとして子供たちに伝えていく活動をしています。
堅田さんはどんな生き方をしたいですか?働くことって何でしょうか?


データ分析は置いておいて、誰かの役に立ちたいというのがベースにあるので、お金儲けというよりは役に立ちたいですね。ビジネスをしているので、最終的にそれがお金になって帰ってきたらいいなとは思いますが。
そして、いろんな課題を見つけて解決していくというのをずっとやっていきたいなとは思ってます。「こうだったらいいのにな」を実現したいんです。教育事業者でもありますが、人を育てるだけでなく自分自身もプレイヤーでいたいと思っています。結局ずっとベンチャーをやっていたいんです。ベンチャー魂ですよ。命ある限りやっていたいと思っています。僕にはルーティンもう無理です。笑
ついて来てくれる20、30人の彼らと共に、彼らと僕のやりたいことを結集してやっていきたいと思っています。

― これから起業する人、若者たちが知っておくべき事とはなんでしょうか。

起業してみて思うことは、人事ですね。人に関することです。
「組織論」これは本を読むなり、それを知る為に一度、大きな会社に勤めてみるのもいいと思います。

― 学生起業はどうでしょうか?

学生起業は素直さがあれば、外から自分たちには無い経験をもつ社長を連れてきたりできますし、自分たち以外の異物を受け入れられるなら良いと思います。
目標によりますが、「IPOしたいです!」とかになると、社会の一員になるということ。そうじゃないならサークルでもいいんですよ。一定レベルのお金を稼ぐ苦しみってあるじゃないですか。楽しいことだけをやっていても稼げないという現実もあると思うんです。 稼げないのに「起業したい、新規事業を起こしたい」という人って実は多くて、まず新規事業をやりたかったり起業したいんだったら、何でもいいので自分で働いてお金を作るっていうのをやってみると視野が変わってくるのかなと思います。

― 最後の質問です。これから人生を描いていく子供達に向けてメッセージをお願いします。

か一つマニアックなこと、好きなことを見つけてほしいと思います。
漫画でもアニメでもなんでも良いんです。それは誰にも否定されるものじゃないと思いますし、それをとことん突き詰めていくことを小学校、中学校のうちにできることで、その後の人生が大きく変わっていくのかなと思います。
言われたことをやるだけではもったいないと思います。
そのためには、いろんな人と直接話したり、直接見に行ったりして、とにかくたくさん体験をしてください。
「LINE や Twitter ばっかりやってる場合じゃないよ」と言いたいですね。

はたらくことメディア 堅田 洋資

コロナ禍もあり、以前にも増してネット上でわりと何でも解決できてしまうような時代になりました。zoomでの会議に、オンラインショッピング、オンライン授業。でも、私たちは知っているはずです。その場の空気感や相手のエネルギーを含めた、直接何かを体験する素晴らしさを。データ分析を教え、DX推進を掲げる堅田さんが、オンラインの中だけにいてはダメだと言うこの事実が、子供たちだけでなく、もっと多くの人が受け止めるべきことです。レストランで食事中の家族連れやカップルが、会話をせずにひたすら携帯をいじりながら食事をする姿、それは普通ではなく異様な光景なのです。目を向けるべき相手は、携帯ではなく、目の前の相手です。

事実、外出がしにくくなり、コロナが奪った、直接体験できる機会をできるだけ補うべく、オンラインを活用する際には聞くだけ、見るだけの受動的なものではなく、自らも発言や発信、ディスカッションなどで参加できる、アクティブなものを選ぶとより有意義なものになるのではないでしょうか。EXと同じく、テクノロジーに飲み込まれるのではなく、上手に使い、変化する柔軟な賢さが求められているのではないかと思います。

堅田さんの人生が人との出会いで紡がれているのは、堅田さんの素直で柔軟なオープンマインドがあったからこそなのではないでしょうか。耳ではなく、心から「聴く力」があることで、素直に行動に移し人生を変えていく事ができるのだと思います。「顧客のこうだったらいいのになをもっと実現していきたい」そう話す堅田さんは、教育者でありながら、これからのDX時代を牽引するであろうベンチャー魂をもつ挑戦者でした。

Special thanks:河本薫教授


取材・文:小川圭美
写真:中間けい子

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